大先生(元院長)のブログ
日本映画3本鑑賞 |
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2011年09月30日
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映画「神様のカルテ」と医療費問題 |
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| | 先日映画「神様のカルテ」を観た。美しい地方都市・松本の内科医として働く栗原一止(くりはらいちと)通称イチは寝る間もない程の忙しさで働きまわっている。昼間の勤務が終わればそのまま夜間救急医となり、翌日そのまま日勤をするいわゆる36時間勤務が常習化している。現役医者が書いたデビュー作品でありその内容は現代の医療の病巣をえぐり出す。
そんな一止の前に大学病院から見放された末期がんの患者が現れる。パンフレットから引用させていただければ、ずっと心の中におもりがあるような生活を送って来た一止はそんな患者と向き合う中で、命を救うこととは?人を救うこととは?という医者の在り方、人間としての在り方を見つめ直していくことになる。厳しい言葉をかける同僚、答えを簡単にくれない上司。心に突き刺さる一言をくれる友人。何があっても支え続ける愛妻・ハル。そんな多くの人たちとのふれ合い。そして、一止はそんな中から“ある決断”を下す・・・・
末期がんの患者が「最後にこんな幸せな時間が待っていたなんて」と漏らす言葉、心を救う内科医「一止」の行動に感動し、医療人たるものかく有るべきとも思った。

ところで現代の医療は多くの矛盾を抱えている。
先ごろ日本大学医学部付属練馬光が丘病院が2012年3月をもって撤退すると発表した。同病院は東京23区内で年間9万7000人の入院患者を受け入れ、年間1万9000人もの救急患者の診療を行っていた大学病院である。東京都内の地域医療の要であった大学病院が実質的な破綻状態に陥り、積み重なった赤字額は20年間で140億円に達すると言われている。この病院の病床稼働率は80%を超え、他の人件費比率などの経営指標には問題もなく、外来も混雑して行列が出来る状態であった。
それなのに何故か
保険点数に問題があると分析されている。「医療機関の部門別収支に関する調査」によると、内科系では100円稼ぐのに109円のコストがかかり、また産婦人科では100円稼ぐのに118円の費用が要る。つまり逆ザヤが出るためと報告している。
また9月10日の日本経済新聞電子版に大企業の会社員とその家族が加入する健康保険組合(全1458組合)の2010年度決算は、医療費増加で4154億円の赤字となった。全体の28%に当たる415組合が保険料率を引き上げたものの、過去最大だった09年度に次ぐ赤字額となったと報じていた。そして全体の76%の1115組合が赤字となった。この原因を高齢者医療制度への拠出金の増加と、10年度に診療報酬がひき上がったためだと分析していた。
このままでは健保組合の多くが解散する恐れが出てくるかもしれない。
また現在人工透析をしている患者はおよそ30万人と言われている。患者一人当たり人工透析にかかる費用はおよそ月40万円、年間480万円となる。
ざっと計算するとその総額は1兆4400億円となる。一方、2010年度の総医療費は36兆6000億円である。日本の人口は1億2800万人であり、透析患者数は総人口に対して0.23%であるが、ところが透析にかかる医療費はおよそ4%(3.93%)を使っていることになる。しかも透析する人の負担は月1万円から2万円で、年額12万円〜24万円である。よって468万円〜456万円は国民が出した保険料と税金でまかなわれている。
この3件の事例は現実問題であり、どれも死活問題を含むが、患者の命を救うために全身全霊を傾けようとしている栗原一止とのアンバランスは何なのだろうか?
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